膜厚計とは

塗料は、金属製品や電気製品、自動車や船舶、橋や鉄塔など様々な箇所で使用されています。

塗装の厚さ管理はとても大切です。例えば塗料の塗布量が多すぎると、塗料が無駄になるだけでなく、塗装が厚くなり割れが発生する恐れが生じます。
一方で薄すぎると、変色や光沢の劣化につながり、さらには下地が露出し錆などが発生する可能性が出てきます。
このように膜厚の管理は、とても大切です。
膜厚計は、塗装の厚さを簡単に正確に測定することができる装置です。誰でも簡単に使用することができるため、幅広い用途で使用されています。

膜厚計の種類と測定原理

膜厚計には、大きく4つの種類があります。
電磁式膜厚計、渦流式膜厚計、電磁/渦流式膜厚計(デュアル膜厚計)、超音波式膜厚計の4種類です。
測定対象物に合わせて機器を選択ましょう。

素地
鉄などの磁性金属(磁石にくっつく金属)

塗膜
塗装、樹脂、エナメル、ニス、クロム等の非磁性被膜

素地
アルミ、銅などの非磁性金属
(磁石にくっつかない金属)

塗膜
塗装、陽極酸化被膜、プラスチック、樹脂、ゴム等の絶縁性被膜

電磁式の素地・塗膜
鉄等の磁性金属上の非磁性塗膜

渦流式の素地・塗膜
アルミ等の非磁性金属上の絶縁性皮膜

素地
金属および、コンクリート、木材、樹脂などの非金属

塗膜
表面が粗い場合や、発泡性の塗膜は測定不可

電磁式膜厚計(鉄用)

磁石を引張る力の強さである磁束密度を測定し、膜厚を計算します。
塗膜が薄い場合は、プローブと素地の距離が近くなるため、磁石を引っ張る強さ(磁束密度)が強くなります。逆に、塗膜が厚い場合は、プローブと素地の距離が遠くなるため、磁石を引っ張る強さ(磁束密度)は弱くなります。
このように、磁石の引っ張る強さは、プローブから素地までの距離に比例しますので、この性質を利用して膜厚を計算します。

塗膜が磁性を帯びている場合は測定することができませんので、注意が必要です。

素地:磁性金属

電磁式膜厚計

渦流式膜厚計(非鉄用)

金属面上の渦電流を測定し、膜厚を計算します。
塗膜が薄い場合は、プローブと素地の距離が短くなり金属面上に発生する渦電流が強くなります。逆に、塗膜が厚い場合は、プローブと素地の距離が長くなるため、渦電流が弱くなります。
このように、渦電流の強さは、プローブから素地までの距離に比例しますので、この性質を利用して膜厚を計算します。

電気を通さない絶縁性の皮膜でしか測定できないことに、注意が必要です。

素地:非磁性金属

渦流式膜厚計

電磁/渦流式膜厚計(デュアル膜厚計)

「電磁式と渦流式の二方式を搭載した膜厚計です。
素地が、鉄などの磁性体とアルミなどの非鉄金属の両方に対応します。

NDTマートの膜厚計では、KC-210KC-260FNがこのタイプに該当します。

素地:磁性金属・非磁性金属

電磁・渦流膜厚
(デュアル膜厚計)

超音波式膜厚計

超音波の伝播時間をもとに膜厚を計算します。
プローブから発信された超音波は、塗膜と素地の間で反射しプローブに戻ってきます。
超音波式膜厚計では、この超音波の発信から受信までの時間を計測し、これに塗膜の音速をかけて膜厚を算出します。

超音波式膜厚計は、主に、コンクリート、プラスチック、木、ガラス等に塗布された塗膜の厚さを測定するために使用されています。素地が、金属以外でも測定できることが大きな特徴です。
ただし、他の手法と異なり、カプラントという液体をプローブ(センサー)と測定箇所の間に塗布する必要があります。また、表面が粗い場合や、発泡性の塗膜、超音波が伝わりずらい塗膜は測定することができないため、注意が必要です。

*NDTマートでは、現在のところ超音波式膜厚計は、販売していません。

素地:コンクリート、木材等

超音波式膜厚計


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